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身代わり妹

第1章 苦悩

「お姉ちゃん…今日は具合悪そうだったね……」

寮までの短い道程。他に会話が浮かばなくて、姉の話題を振ってしまった。


「まだ治療法の確立してない病気なんだ。昨日から薬を変えて様子見てる…」

凌太の声に元気がない。

(そりゃあそうだよね、お姉ちゃんを心配してくれてるんだ……)


優しい凌太を嬉しく思う…でも、悲しい。

もう戻れないんだって、いつまでも過去の恋を…凌太を好きな気持ちを引き摺っているのは私だけなんだと思い知らされる。



「送ってくれてありがとう! おやすみなさい」

寮に着くと、涙目に気付かれたくなくて俯いたままそう言い走り出す。


(お姉ちゃんの話なんてしなきゃよかった……)

いつまでも2人を祝福出来ない私は最低の妹だ。

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