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身代わり妹

第2章 嫉妬

「大山さん、今日は湿布が処方されてますよ。薬局で受け取って下さいね」

お会計をする人の良さそうな中年のおじさんの大山さん。

夜の工場の荷分けのバイトの現場を取り仕切る人だ。


腰痛がひどく、近所で評判の良かった秋村病院へ、昼間のうちに受診しに来たらしい。

本日の新患さんで、お互い大きな声を上げて驚いてしまった。

慌てて口を押さえ「バイトの事は内緒でお願いします」と言ったら、大山さんは親指を立てて笑ってくれた。


「いやいや、美優ちゃん、その制服姿いいね」

工場のバイトは制服がないので、動きやすいジャージを着ていく。

今日は膝丈スカートを履いている私を、興味深げに見ながら大山さんが笑った。


あまりにも爽やかに笑うから、言葉にも視線にもいやらしさを感じない。

工場のスタッフに好かれて現場を任されているというのが納得出来る、裏表のない気持ちのいいおじさんだ

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