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身代わり妹

第2章 嫉妬

「じゃあまた今夜ね」

私の耳元に口を寄せてそう言う大山さん。


内緒にして欲しいと言ったから気を使ってくれたのだろう。

でも、元々声の大きい大山さんは、小声のつもりでも周りに聞こえかねない大きさの声だった。

苦笑いを浮かべて大山さんを見送った。



「花純ちゃん、そっちのカルテは片付ける分だよね?」

パソコンと睨めっこしている後輩の諸田花純(もろた かすみ)に声を掛ける。

緩く巻いたキャラメルブラウンの髪をクルクルと回し、花純ちゃんは小さく唸りながらパソコン画面を睨んでいる。


また何かやらかしたのだろうか…失敗の多い後輩だ。

なのに不思議と頭に来ないのは、花純ちゃんの素直さと人懐っこさのお陰だろう。

妹の欲しかった私にとっては、妹みたいに可愛い後輩だ。

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