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身代わり妹

第3章 解禁

「美姫の事、好き?」

「……好きだよ」


何の感情も読み取れない凌太の声。

それでも、その顔は優しい笑顔で姉を見つめている。


涙に歪んでいく顔を見られたくなくて俯く。

それでも、

姉が勝ち誇ったような顔で私を見ているのがわかる。




「美優よりも、美姫が好き?」

「…………好きだよ」


姉の言葉は、どこまでも追い打ちをかけてくる。

息が苦しくなって、心臓が痛みを伴って激しく騒ぐ。


すっかり呼吸の整った姉と比例して、私の呼吸は荒く苦しげになっていく。


「…っあの、仕事っ、始まるので…」

部屋から出て行こうとする私に、姉は決定的な言葉を言い放った。



「凌太は、美姫の病気を治すために医者になったんだもんね」


「え……?」

─────姉の病気を治すため?


凌太を振り返ると、気まずそうに目を逸らされた。


(どういう事? そんなに昔から、2人は知り合いだったの?)

疑い始めたらキリが無い。


(もしかして……私は…ずーっと前から姉の身代わりだった……?)

凌太との幸せだった日々さえ疑ってしまう。



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