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身代わり妹

第4章 現実

「美優! ちょっと時間いい?」


昼食を終え休憩室で休んでいると、由美さんに呼ばれ、婦長室へと急いだ。

検査入院の事をまた言われるのかもと構えたが、言われたのは驚くような話だった。



「え? お姉ちゃんの病気が治る?」

治療法の確立していない姉の病気が治るかもされないと言うのだ。


「時間の掛かる話よ?

大学病院で、美姫さんの病気の研究をしているの。転院しても探りながらの治療にはなるし今すぐではないけれど、時間は掛かっても治る可能性があるという事」

「……治る可能性?」

力強く頷く由美さん。


─────考えた事なかったな。

姉の病気が治れば、入院費に支払っていたこの病院でのお給料が丸々残る。

(そうしたら、お金の心配しなくて良くなるのかなぁ)


「ただね……主治医である凌太が反対しているから、まだ美姫さんやお母さんには話してないの」

「反対?」


……何で?

姉が治る可能性があると言われて、凌太が反対する意味がわからない。


「まずは主治医である凌太を説得しなきゃだから、まだ時間が掛かるかもしれないけど、美優も考えておいてね!」

由美さんはそう言うと、私の髪を優しく撫でた。



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