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身代わり妹

第4章 現実

<side 由美>


今朝の待合室での話は、瞬く間に院内に広まっていた。

きっと、凌太の耳にも入った筈。


笑顔で診察を続けている凌太をチラリと見やる。



(─────不器用な子…)


本気で手に入れたいなら、もっと必死になればいいのに…

凌太と美優はそういう所が似ている。


本心を胸に秘めてしまう。

そして、1人で苦しむ。

お互いの想いは口に出さなければ伝わらないのに……。


このままじゃ、凌太と美優はどんどん擦れ違っていく。


凌太と正反対な子が美優の前に現れた今、凌太は圧倒的に不利だ。



(凌太…このままでいいの?)

もどかしさに耐え切れず、診察室を出た。




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