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身代わり妹

第4章 現実

ふと窓の外を見れば、大きな薔薇の花束を抱えた美優の姿が見える。

きっと寮に置きに帰るのだろう。

私はその後ろ姿を追いかけ、声を掛けた。



「美優!」

「由美さん?」


美優の顔の何倍もある花束。

贈り主の男の子の気持ちが伝わる。


「すごい花束ね。聞いたよ、今朝の話」

「ふふっ、恥ずかしい」

顔を赤らめて目を伏せる美優。



(─────凌太…本気で頑張らなきゃ美優を盗られるよ…?)

心の中でわが子に警告する。



「昨日、お誕生日だったね。忘れててごめん……」

美優の頭をそっと抱き締める。

薔薇のいい香りがした。


「いえっ、もう祝ってもらう歳でもないですから」

そう言って笑う美優。

それが本心じゃない事くらい、私にはわかるよ。



「今夜空いてる? お祝いしよ?」

「あ……」

気まずそうに俯く美優。


「何か用事?」

「まだ…約束はしてないんですけど……花束のお礼に夕飯作ってあげようかと…」


「じゃあそれはまた今度で。お祝い事はあまり後回しにしたくないから」

半ば強引に美優を誘う。


「…はい…ありがとうございます」

美優の心からの笑顔に、ホッと胸を撫で下ろした。


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