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身代わり妹

第5章 揺心

”生まれてきてくれてありがとう”

いつか自分に子どもが出来たら言ってあげよう。


新しい命がこの地上に生まれ出た日。

そんな日 に”産まなきゃよかった” なんて絶対言わない。



こんな風に大勢の人に祝って貰えるように、皆に愛される子に育てよう。

ちゃんと、私の手で…私の傍で…大切に大切に育てよう。



食堂に響く合唱を聞きながら、

いつも生きる事を諦めてた私が、

初めて将来を…幸せな未来を…思い描いていた。




「花純ちゃん、ありがとう。こんなたくさんの人におめでとうって言ってもらったの初めて! おかげで素敵な日になったよ」

私は嬉しくて、思わず花純ちゃんに抱き着く。


「美優先輩っ!」

あっという間に花純ちゃんの目にも涙が溜まる。


「美優先輩っのっ、役にっ、立ててッッ、嬉しいですぅ─────ッ」

花純ちゃん号泣……。


もぉ……ホントにホントに可愛い子。


ドン引きな周りに頭を下げながら、泣き止まない花純ちゃんを抱き締め、ポンポンとその背中を優しく叩いていた。

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