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目を擦った学は、置いていた黒ぶちメガネをかけてぼやっと立ち上がった。



教室の入り口には言われた通り、めちゃくちゃかわいい女の子がニコニコしながら、学を見てる。


待って…


ちょっと…違うっ…
こんなの想定外なんだからーー！


「あっ…先輩っ！これっ！」


「………ナニコレ」



さすが学。

バレンタインデーにチョコレート渡されて、ナニコレと言い放つなんて…


「もぉっ！チョコレートですよ！チョコレート！渡すって言ったじゃないですかー」


「ああ……ありがとう」



渡す約束…？


で、


何故──…学は否定しない…？


モヤモヤ渦巻く黒い気持ち。


嫉妬させるつもりだったのに、
逆に私が嫉妬している…


無表情で席に戻った学は、はわぁっとあくびをして、本を読み始めた。


……ちょおいっ！

おかしいでしょ！その落ち着きぶり！


ていうかあの女の子誰よっ！