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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 タリムは水辺にしゃがみ込むと、前屈みになった。両手を水に浸してみる。ひんやりとした何とも心地よい感触に、自ずと微笑が浮かんだ。
 後は夢中になって、手で水を掬っては口に運んだ。甘くて清涼感のある水は喉を通り過ぎ、タリムの躰だけでなく心まで潤してくれるようであった。泉のほとりに、砂漠によく見かけられる樹が一本、ポツンと植わっている。乾きにも強いこの樹は降雨量の少ない砂漠でも育ち、殊にこのようなオアシスの傍らでよく見ることができる。

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