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そして僕等は絡み合う

第5章 南野 昴の場合

「はい! ありがとうございました!! 日時が決まりましたら、連絡しますね!」


「ありがとうございます。宜しくお願いします」


俺を何度も恋に落とす、可愛い笑顔を浮かべながら、東さんは自分の部屋に戻って行った。


閉められたドアを俺はしばらく、ウットリと見詰め続ける。


「やっと、一歩前進だ……」


単純な俺でも、今日ばかりは感慨深く浸ってしまう。


最初は痴漢と思われてから怖がられていた俺が、等々一緒にアウトドアをするまでに進歩したんだ。


こんな展開になろうとは、昨日まで全然予想だにしていなかったのに、昨晩の西垣さんの事件から、状況が一転した。


「これも高橋さんのイケメンパワーのお陰かもな!」


高橋さんの部屋に向かって、合掌をする。


「バーベキュー、盛り上げるぞ~!」


俺の頭の中は、一緒にバーベキューを楽しむ東さんの姿で溢れ出す。


もう、それだけで世界がバラ色だった。



そして――


この時の俺は、東さんが可愛い過ぎて、つぶらな瞳の奥から発していたものを悟ることはまだ……


できないでいたんだ――――。

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