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愛 人 契 約

第2章 出会い

わたしが付いたその人は黒崎さんというらしい。

見た目の期待を裏切らず、お酒の飲み方もスマート。

話もおもしろいし、優しい。

当たりも当たり。
こんないいお客さん、めったに出会わない。



「どうしたの?ぼーっとしちゃって」



黒崎さんが顔を覗き込む。



「あっ、いえ、すみません!」



空になっていた黒崎さんのグラスに、慌ててお酒を作る。



「ゴメンなさい、気が利かなくて…」

「え?あぁ、全然大丈夫だよ。そうじゃなくて、何か考え事でもしてたのかなって」



黒崎さんはニコッとほほえみながらグラスを受け取る。



「いえ、考え事というか…黒崎さんって素敵な方だなって…。ほら、キャバクラって変なお客さん多いから…」



黒崎さんは一瞬ビックリしたように目を開いて、わたしに耳打ちをした。



「そういうこと、ここで言わない方がいいんじゃない?」



わたしはハッと口を抑えた。



「ほ、ほんとそうですよね!ゴメンなさい…!」

「いいよ!千春ちゃん、おもしろいね」



黒崎さんはクスクスと笑った。

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