テキストサイズ

愛 人 契 約

第3章 近づいていく距離

「それからそれから?なんか進展あった?」



好奇心で目を輝かせてるのは友達の夕貴(ゆうき)。



「進展もなにも!お客さんだもん!」

「でも未央はときめいちゃったんでしょ~」

「そ、それは…。黒崎さんみたいにいいお客さんめずらしいから」

「あくまで“客”ってこと?」

「そうだよ!」



わたしは動揺をごまかそうと、冷めかけたカフェラテに口をつける。



「…………それに」

「それに?」







わたしは気付いていた。

黒崎さんの左手の薬指にはめられた指輪。








「…既婚者ってこと?」

「そうでしょ」

「なぁ~んだ、つまんないの~」



かっこよくてお金持ちで優しくて…

そりゃ結婚してるよね。

でも正直言うとガッカリしてしまった自分もいる…








「それにしても、未央ずいぶん買ったね~」



わたしは隣のイスに置いた紙袋たちに目をやった。



「買い物久しぶりだもん」

「それにしても買いすぎじゃない?やっぱキャバって稼げるんだね~」

「そりゃファミレスよりはね」



キャバクラを掛け持ちするようになって収入も増えたけど、買い物に使う金額も増えた。

今は買い物が一番のストレス発散になっていて、お金が入ってきただけ使ってしまうようになっていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ