僕の初恋。
第9章 僕…
すっ…
病室の扉を開けて、左には目を瞑って横たわっている悠人の姿があった。
「………」
いつもの光景。いつもの顔。
いつも思う事。
早く…起きてくれ。
「………………………………っ………………」
「……え?」
「………………せ………せ……い……」
「…はっ……はる…っ」
そこにある光景が信じられなくて、嬉しくて、抱き締めた。
「…はるとっ……はる…と……っ」
「……っ…せ…せ……ごめ…」
コンコン
すっ
「失礼しま……杉崎様!先生~!!」
「……嵐…」
「っ……」
ギュッ
「悠人…?」
「…ごめ…な…いっ…ほん…う…ご…んさ……も…」
数ヵ月の間も声を出していなかったからか、途切れ途切れ話始めた。
「…も…ぼく……あん、こと…しない…か……っゆる…て……」
泣きながら訴えてくる悠人。
記憶がなくなってない事はわかったが、自分と心についた傷は消えてはいなかった。
俺はそれを無言で受け止める。
「…ただ…せんせ、に……っかなし…かお…してほしく…なかっただけ…」
声が戻ってきたのか、先程よりスムーズに話せるようになった。