イケない同棲生活
第2章 2―契約成立
結局私は、あの後家に帰ることもせず、同僚である立石 彩織(たちいし さおり)の家に泊まる事にした。
着物姿で押しかけても、何も聞かずにいれてくれた彼女には、本当に感謝の言葉しかでない。
「で、逃げてきたわけだ?」
「うん…。本当、お父さんってやることハチャメチャだよ」
そして、シャワーを浴びて着替えを貸してもらい、今に至るわけだけど。
彩織にソファーの上で向かい合って今までの事を話せば、なんでもっと早く言ってくれなかったんだと怒られた。
「直弥君のことも、私全然知らなかった」
「…ごめん」
「婚約者ができたって時点で、私に連絡してくれればなんとかした」
「ごめん…!」