イケない同棲生活
第2章 2―契約成立
本当に謝ることしか出来ない。
人脈も力もある彩織にはいつも助けてもらっていて。
だからこそ、言いにくかったのだ。
何度も何度も迷惑なんてかけられないもの。
しゅん、と落ち込む私を見て、彩織は小さく溜息を吐いた。
「楓はさ、いつも一人で抱えすぎなんだよ。一人で解決できないような事も、自力でなんとかしようとして・・・。私が居る事、ちゃんと覚えててよ?」
「…うん。ありがとう」
「で、その婚約のことなんだけど―――…」
と、彩織が口を開いた刹那。
ピリリリリリッピリリリリッ
私のバックに入っていた携帯がけたたましく鳴りはじめ、話を中断された彩織は不服そうに眉を顰めた。
「ごめん、」
「いいよ。でな?」