イケない同棲生活
第3章 3――新居にて
にしても、こんな暗がりでも男の顔は相変わらず綺麗で…女のこっちからすれば腹立たしい事この上ない。
「時間、過ぎてる」
「いきなりだったんだから仕方ないでしょ」
羽織りは羽織っていないものの、未だ着流しを身に纏う男の片手にはあまりに不釣合いな携帯。
男はその携帯を唐突に私の方に投げてきて。慌ててキャッチした私の腕をぐいっと強い力で掴むと、自分の方に引き寄せた。
ぴたりと止まったのは、鼻と鼻があたりそうなくらい、近くて。
「強ぇ女」
「はあ?!というか、ちちちちち、近いし!!!」
そしてにやり、不敵な笑みを浮かべた。
ああ、どうしよう天国のおじいちゃんおばあちゃん。
私……
「今日からお前をたっぷりしごいてやるよ」
とんでもない男に捕まってしまったようです。