イケない同棲生活
第3章 3――新居にて
その後も警戒しながら着いて行き、徒歩5分程度のところでピタリと足を止めた彼。
え、意外とちか!!と思いつつ、それに釣られて顔を上げると…。
「ででで、でっかあああああ!!」
「うるせぇ。とにかく中に早く入れ」
目を見開くほどの大きな和風の屋敷が聳え立っていた。
なんだこの男…。顔もいいくせに懐もいいのか。
「こっちだ」
この世の中の不公平さを思い知らされながら、玄関に通される。
きっと入った瞬間、「おかえりなさいませ、ご主人様(はーと)」的な熱烈な歓迎がありそうだ、と思って身構えていたけれど。
「…誰もいないじゃん」
「当たり前だろ。ここ、俺だけしかいねぇからな」
全く身構えていなかった驚愕の事実に、私は卒倒しそうになった。