イケない同棲生活
第1章 1―しぐれ料亭にて
「そこでだ。お前ももう25歳。結婚して幸せになって欲しいんだ」
「いや、でも仕事あるし」
「だからな?お父さん、探したんだ」
無視ですか?
「お前の結婚相手。そしたらすぐにお前と結婚したいって人が現れたよー!!!」
「……は?」
そんな父の言葉に、二日酔いも手伝ってか、頭痛と眩暈を覚えた私。
これは私が作り出した夢だろうか?
そう思って頬をつねってみるけれど、じわりと痛みが広がってきて、夢ではない事を知る。
「よかったわね楓…!」
「姉ちゃんもやっと結婚かー」
「え、いやちょっと待ってよ。何この小説みたいな策略結婚的な何かは」
「まあそう言わずに!相手の人は御曹司なんだぞ!ヨッ玉の輿ッ☆」
ひゅーぅぅっと口笛を鳴らす父に若干の殺意を覚えつつ、私は本日二度目となる困惑を覚えたのであった。