イケない同棲生活
第4章 4――偽装生活
「じゃあ俺が本気出したらお前…壊れるかもな?」
「ひっ」
ニヒルに笑った男が手を伸ばし、私の頬を包んでどこか官能的に撫でた。
その視線は昨日と同じように野生的で。
「お前みたいな女も、悪くねぇ」
「…っ」
徐々に近付いてくる、男の綺麗な顔に、私は反射的に目を瞑った。
キス、される…!!!
「んぐっ?!」
が、唇に落とされたのは柔らかい感触ではなく、パリパリとした何か。
え?ナニコレ。咄嗟に目を瞑った事も恥ずかしいけどさ。
痛い。地味に痛い!!
「んごふごんん!!(なにすんのよ!!)」
「いいから、食え。俺の特製フランスパンのサンドイッチだ」
ぐぐぐぐっと、無理矢理パンで唇をこじ開けさせ、またまた無理矢理パンを食べさせられる。
悔しいけど、色んな具材が入っていておいしかった。
意外とこの男は家庭的らしいようだ。
「で、今日はお前仕事じゃねぇのかよ?」
「は?仕事?」
全部のパンを食べ終え、男が壁にもたれかかって座り込み、煙管をふかしながらなんとでもないようにさらっと問いかけてきた。
あれ。
今日って何曜日?