
イケない同棲生活
第4章 4――偽装生活
その後も何かと鉢合わせするそいつ――彩織から聞いた名前、
宮島 楓(みやじま かえで)
なんと私と同じ名前とか最悪だが、会うたびに悪態を吐いてきて。
イライラしながらも大人を見せ付けるために我慢しつつ、やっと残業も終えた頃には、既にヘトヘトだった。
「な、なんなのあの憎たらしい小僧は……」
誰も居なくなったオフィスで、ぼそりと呟けば、更に疲労感が増したような気がした。
はあーっと溜息をついて、チラリと携帯に視線を投げると、受信を知らせるライトがチカチカと光っていた。
「げっ忘れてた!!!!」
そうだ、あの強烈な後輩のせいで忘れてたけど、迎えに来るんだった!!!
その前に逃げようと思ってたのに!!
私は慌てて鞄を掴み、あの男に見つかる前にと裏の出口に足を進めた。
