
イケない同棲生活
第4章 4――偽装生活
透明の自動ドアからそっと出ると、その瞬間に冷たい空気が襲ってきた。
寒空を見上げると、深夜をまわっているからか、星が綺麗に見えた。
それにしても…さんむっ!!
こんな寒い中、あの男が待っているわけも無いだろうし、きっとすぐ帰ってくる。
「見つけた」
と、安心した刹那。裏から出たはずなのに、
「きゃあ?!」
唐突に腕を後ろから引っ張られ、聞き覚えのある低くて甘い声が聞こえた時には信じられなかった。
そして、そのまま後ろから抱きすくめられて、身動きすら出来ない状態に固まる事しかできない。
「なっんで・・・っ」
「ばーか。お前の考えなんかお見通しなんだよ」
くつくつと馬鹿にするように笑われ、カッと熱くなる顔だけれど。
「お前、俺から逃げようとしたんだよなぁ?」
そんな言葉が聞こえ、背後から忍んできた冷たい指先が太股を伝ったときには、一瞬で顔が青くなった。
