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イケない同棲生活

第5章 罠






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「峰内さん、呼ばれてますよ」




「あ、はい」



会社にて。



まだ昨日の余韻の残るドキドキを胸に、同僚に声をかけられ椅子から立ち上がった。




お昼も近いこともあって、ざわめくオフィスをそっと抜けると、広めの廊下を歩く二人組みの男が目に入る。




特に気にする事もないため、そのまま通り過ぎれば。






「なんかさ、更衣室の机移動してたよな?」



「そうか?」



「ああ。ちゃんと戻しとくよう新人に言っておくわ」





そんな会話が聞こえて、ただでさえ忙しなく動いていた心臓がドクンッと大きく跳ねた。




あの男――真弘と部屋を共にして3日目。



昨日はあの後気絶した私を抱き上げて連れ帰ってくれたらしい真弘は、やっぱり不機嫌だった。



『気絶するまでしてやるとは言ったけど、まじで気絶してんじゃねぇよ重い』




なんてことまで言われる始末。




「…あいつが気絶するまでやったんでしょうがこんちきしょう。ばれそうだったって文句いってやるんだからこんにゃろう」



どすんどすん。



無駄に大きな足音をたてて歩いていたけれど。



あれ?



私、誰に呼ばれたんだ?




「気絶するまでやったって、なにを?」






と。





ふと、背後から聞こえてきた笑いの含む声に、私の体はピシっと、石のように固まった。



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