
イケない同棲生活
第6章 犯人追跡?
バタンッ
宮島楓の声を遮るように屋上の扉を閉めた真弘が、無言のまま階段をおりてゆく。
「……」
真弘が言葉数が少ないのは知っているけれど、
彼との沈黙は決して苦しいものではなく、落ち着くものだった。
けれど、今は気まずくて仕方がない。
何をしたわけでもないのに……。
息の上がったままそっと顔をあげると、そこにはいつも通りの仏頂面あって。
いつもと同じ表情なのに、何かが違う。
「・・・真弘?」
「……」
名前を呼ぶと、いつも返事をしてくれるのに、してくれない。
長い足をただ前進させるだけで、チラリとも見てくれない。
「真弘、お、怒ってるの?」
「……」
恐る恐るそう言うと、真弘はやっと私を見てくれた。
けど、涼しげな瞳がいつもよりも少し鋭い気がする。
真弘が怖くてたじたじしていると、真弘は真一文字に結んでいた唇を開いた。
「お前、何で俺に黙って来たんだよ」
「は?」
「あいつに呼び出されたんなら、なんで言わねぇ」
なんでって……宮島楓に限って、そんなことないって思って…。
「何もされない。大丈夫だ。そう思ってたわけ?」
と、真弘がたった今思い浮かんだ言葉を口にして、はっと驚く。
そんな私の表情を読み取ったのか、真弘はぐっと眉間に皺を寄せた。
「男ってどういう生き物か、まだわかってねえの?」
そして、真弘はそう言いながら非常階段を降り切って駐車場へと足を運び、
本当に帰るのか、車の鍵を開けて後ろの席に私を投げ捨てた。
「きゃっ?!
ちょっアンタ投げる事ないじゃない!!」
「痛くねぇだろーが」
「そういう問題じゃ―――って、なにしてんの?」
