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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 ハッと面を上げると、ゆっくりと橋を渡ってくる人影があった。長身のその人は、忘れたくても忘れられない男(ひと)―。
「孫尚宮にそのような特技があったとは知らなかったぞ」
 王は笑いながら、近寄ってくる。
 明香の心臓の音が煩くなった。
「殿下がこのような場所にいらっしゃるとは、思いも及びませんでした」
 明香は深々と頭を垂れる。

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