悪魔と淫美な世界へ
第7章 ~争いの先~
「ゆきっ!」
突然ガラスが吹き飛ぶ音と共に、黒い羽を生やした魁が現れた。
「やっと来たか…」
「え…魁…?」
聞き慣れた愛しい人の声に、ゆきはふと我に返った。
そして、目の前の出来事に罪悪感で張り裂けそうな胸をギュッと押さえた。
わたしっ…魁以外の人 とっ…
「ゆき…」
「フッ…遅かったから少 し遊んでしまったよ
お前が入れ込んでるだ けあって、感じやすく て良い身体だった」
嫌な笑みを浮かべながら、黒胡は魁の方へ近付いて行った。
ゆきの身体には痛々しい程の痕が散りばめられていて、それを見た魁は目を鋭くさせた。
「あ…魁…」
「黒胡っ…貴様っ…」
「たかが人間の女1人に 、何をそんなに取り乱 してる?
らしくない反応だね」
黒胡の挑発する様な言葉に、魁は全身から殺気を漂わせ怒りを露わにした。
「さぁ、王座の奪い合い を始めようか」
「ああ
今度はきっちり殺して やる」
魁は黒胡の首を掴むと、壊れた窓に勢い良く身体を押し付けた。
その凄まじい衝撃で、窓は完全に破壊され2人はそのまま屋敷の外へ飛び出して行った。
「魁っ!」
どうしようっ…
「ゆき様っ」
少し遅れて、その破壊された窓から琉希が現れに駆け寄って来た。
「生きていましたかっ」
「琉希さん…わたし…」
「話しは後です
取り合えず服を着て下 さい
安全な場所に非難しま す」
「あ…はい…」
わたしっ…なんて事し ちゃったんだろうっ…
ゆきは痛む胸を抑えながら、破壊された窓を見つめた。