悪魔と淫美な世界へ
第7章 ~争いの先~
「ゆき、お前に王の座を 譲り渡す」
っ!?
「えっ…むっ無理だよっ わたし何も出来ないし っ!
っていうか、何してい いかわからないしっ… 」
ゆきは衝撃的な展開に、腰を抜かした様に座り込んだままあたふたした。
「そんな心配はいらない 来い、城に戻るぞ」
「じゃあ、俺も城に―― 」
「何でお前も来る」
「皆を納得させるのに、 口下手なお前だけじゃ 役不足だろう」
黒胡の嫌みな言葉に、魁は目を鋭くさせピリついた空気を漂わせた。
どうしようっ
放っといたらまた戦い が始まりそうっ…
「…あの…黒胡さんも一 緒なら行っても…いい かな…」
「何?」
「決まりですね
では、ゆき様の気が変 わらない内に城へ戻り ましょう」
魁に有無を言わせないようにそう言うと、琉希はゆきに手を差し出した。
「あ…ありがとうござい ます…」
「また争いにならないよ う、私がゆき様を運び ます」
「…わかった」
ピリついた空気の中、魁は黒い羽を広げ勢い良く飛び立った。
続いて黒胡が飛び立ち…琉希はその姿を見届けた後、軽々とゆきを抱きかかえた。
「しっかり捕まっていて 下さい」
「はっはいっ
…あの…琉希さん…
今の話し…本気じゃな いですよね…?
2人の戦いを止めるた めに――」
「本気ですよ
その方が魔界の秩序を 今まで以上に保てます
魔界で1、2を争う魁 様と黒胡様が、唯一従 う存在のゆき様は誰よ りも強いと思います」
「はあ…」
どういう意味かさっぱ り…
「そのうち解ります」
意味深にそう言いながら、琉希は中指で眼鏡を直した。