悪魔と淫美な世界へ
第4章 ~ 捧げる想い ~
その頃、ゆきと蒼空はあまりひと気がない道を並んで歩いていた。
「ゆき先輩、大丈夫?」
「うん…
あの…都合良く利用し て‥ごめんね…」
「気にしないでっ
っていうか、ゆき先輩 の力になりたいしっ
それに‥おれを選んで くれてすごく嬉しい… 」
蒼空は、自然にゆきの手を取った。
その瞬間、ゆきの胸は高鳴り恥ずかしそうに俯いた…
「ねぇ‥ゆき先輩は、あ の悪魔のどこが好きな の?」
「えっ…それは…」
「あいつ、ゆき先輩の事 何とも想ってないよ?
おれの方が絶対、好き って気持ちは負けない っ…」
「蒼空…」
蒼空は‥こんなにわた しの事…
…でも…魁は‥‥
わたしが‥一番欲しい ものは…一生手に入ら ないかも知れない‥‥
魁の事が頭に浮かび、ゆきは苦しくなった胸を抑えた…
その時、突然ゆきの身体が空高く舞い上がった―――
「きゃっ!」
「暴れるな」
「かっ魁っ!」
直ぐ目の前に魁の整った横顔があり…ゆきは、自分がお姫様だっこされている事に気がついた。
「どうしてっ
わたしっ蒼空と…」
「黙れ」
鋭く殺気だった目に、ゆきは怯えた様子でそれ以上何も言えなくなってしまった。