悪魔と淫美な世界へ
第4章 ~ 捧げる想い ~
「…わたし…蒼空と約束 してるから‥先に帰っ てて」
「っ!?」
「蒼空‥行こう?」
「う、うん」
魁に背を向け、ゆきは蒼空と学校を後にして行った。
その後ろ姿を、魁は鋭い目で見つめた…
俺より奴を選んだだと っ!?
…こんな事態は初めて だ
だが、怒りよりも‥こ のこみ上げてくるもの はなんだ…?
「あれ?ゆきの彼氏さん ?」
立ち尽くす魁の前に、下校途中の里香が現れて彼氏と仲良く手を繋いでいた。
「お前はゆきの…」
「ゆきを待ってるんです か?」
「いや、ゆきは蒼空とい う奴と約束があるらし いから俺は帰る」
「…あのっ
他の人とデートしてて も何とも想わないんで すかっ?」
「お前には関係ないだろ う」
「ゆきの事‥好きじゃな いんですか…?」
「好き?
そんな感情はない
俺が興味あるのは、ゆ きの処女だけだ」
「えっ…!?しょっ!? 」
卑猥な一言に驚いた里香だったが、怒りを露わにしてまた口を開いた。
「体目当てなんだ
あー、ゆきが可哀想! 蒼空を選んだ理由が凄 くわかるっ
もう行こうっ?」
「あ、ああ…」
呆れた様子で、里香は彼氏とまた歩き出した。
奴を選んだ理由?
「おい
それはなんだ」
「愛されてるからじゃな いっ?
このままじゃあ、蒼空 になびいちゃうかもね っ」
里香はイラついた様子でそう言うと、彼氏と手を繋ながら学校を後にしていった。
ゆきの心は‥奴に向い ているだと…?
血が滲む程拳を握りしめ、魁は人目もはばからず一瞬にして空高く飛び立っていった。