悪魔と淫美な世界へ
第4章 ~ 捧げる想い ~
「…魁…?」
「覗き見か?
用があるなら早く言え 」
その魁の言葉に突然窓が勢い良く開くと同時に、眼鏡を掛けた美形が現れた。
20代中くらいに見え、スラッとした長身。
長めの青っぽい髪の色をしていて、全体的にインテリな雰囲気が漂う…
だけどその背中には黒い羽が生え、悪魔だという事を証明させた。
えっ…!?悪‥魔…?
「あの姉妹から聞いて様 子を見に来ただけです
まあ、予想外な展開で 少し動揺してますが… 」
男は中指で眼鏡を直し、ベッドにいるゆきに視線を突き刺した。
「魔界を支配しているあ なたが、人間の女に心 奪われるなど」
魔界を支配…!?
「何が言いたい」
「率直に言います
そろそろ魔界に戻って 下さい」
「断る」
即答する魁に、男はやれやれという様に中指で眼鏡を直した。
「それは困ります
もう随分魔界に戻って いないのですから
今回は絶対に戻っても らいます」
「たった300年だろう
この話しは後にしろ」
「わかりました
では、また後日伺いま す」
魁に軽く一礼した後、男はあっという間に姿を消した。
消えた…
「魁…今の人は…?」
「あれは俺の執事みたい なものだ
…ゆき…
まだ言ってなかったが 、俺は魔界の王という 立場にある」
「あ…そう‥なんだ…」
どう反応していいかわからない様子のゆきに、魁は真剣な面持ちで近付いた。
「あいつがどんなに反対 しようが、俺はお前を 手離すつもりはない
もし、どうしても魔界 に戻らなければいけな い事になったら…
その時は‥お前も一緒 に連れて行く」
えっ…
わたしが魔界に…!?
思いもよらない事に、ゆきは魁を見つめたまましばらく固まってしまった。