悪魔と淫美な世界へ
第5章 ~魔界の王~
授業中の教室…
机にひじをつきながら、ぼーっとしているゆきの姿があった。
魔界って‥どんな所な んだろう‥‥
みんな、魁達みたいに 美形揃いなのかな?
まだ行くって決まった わけじゃないけど、ち ょっと不安…
「ゆきっ」
「えっ!?なにっ?」
いきなり里香が机に飛びついて来て、ゆきは驚いて目を見開いた。
「なにって‥もうお昼だ よ?
朝からずっとボーっと してるけど、まだ彼氏 と仲直りしてないの? 」
「あ…それは解決できた …かも‥‥」
『ゆき…愛してる…』
低く色っぽい声で囁かれた愛の言葉と魁の顔が頭を過ぎり、ゆきの胸は高鳴り頬が赤くなった。
「良かったね!
ゆき、この世の終わり っていうような顔して たから
ずっと心配してたんだ よ?」
「えっ‥そんな顔してた っ?」
「うん」
「そっかぁ…
心配かけてごめんね
もう大丈夫だから」
「ならいいんだ!
お弁当食べようっ?」
「うんっ」
魔界の事は決まってか ら考えよう
「ゆき先輩っ」
突然教室に入って来る蒼空の姿があり、周りの視線などお構いなしでゆきに駆け寄ってきた。
「蒼空!?
いきなりどうしたの? 」
「彼氏に連れ去られた後 、ずっと気になってて
…無事で良かった」
「あ…突然いなくなって ごめんね
あのね…その…魁とは 仲直りしたというか… 」
「…そう…なんだ‥‥
ゆき先輩が幸せなら… おれはそれで‥‥
ご飯中、邪魔しちゃっ てごめんねっ
じゃあ…」
作り笑顔を浮かべて去って行く蒼空に、ゆきは申し訳なさで胸が痛んだ。
蒼空…ごめんね…