悪魔と淫美な世界へ
第5章 ~魔界の王~
その頃、自宅では…
リビングのソファーでくつろいでいる魁と、その横に立ち尽くすインテリ美形・琉希の姿があった。
「魁様、あの人間の女に 入れ込む理由はなんで すか?」
「なんだろうな」
「魔界では、皆魁様を待 っています」
「留守の間は、お前が俺 の代理だろう」
「ですが、留守が長過ぎ ます
不安の声も出てきてい て、王の座を狙ってい る者が増える始末…」
「俺よりも力がある者に 、王の座を渡すのも悪 くない‥な…」
その独り言の様な発言に、琉希は目を鋭くさせながら中指で眼鏡を直した。
「何を言っているのです ?
全てにおいて、王は魁 様しか有り得ません
その様な戯れ言…
あの人間のせいでどう かされたのですか?」
「ずっと思っていた事だ
ゆきに出逢って、その 想いが強くなっただけ の事…」
「なら‥そう皆に伝えま しょう
ですが‥それを良しと しない者達は、きっと あの人間を殺しに来る と思いますが…仕方な いですね」
わざとらしいセリフに、魁は横目で琉希を睨みつけた。
「待て
ゆきに手を出す事は許 さない」
「ならば魔界に…」
「まだしばらくは戻らな い
それだけ皆に言ってお け」
「…わかりました」
断固とする魁に、琉希は気が進まない様子でリビングを後にした。