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雪の降る日に

第1章 プロローグ

しかしその反面、ほとんど毎日 親が家に居るところを見なかった。
不満がある訳ではなかったし、父と母はとても優しい人だった。それに、伊吹は知っていた。
2人が一生懸命働いてくれてるおかげで、不自由のない生活を送れることを。ただ…寂しいのだ。

何年か前、颯月と一緒に天太の家に泊まったことがあった。玄関を開けると「おかえりー」と天太の母の声が聞こえた。リビングには手作りの温かい夕食。そんな些細なことが伊吹にとって、とても羨ましく思えた。

家族で食事なんて半年ぶりくらいだろうか。伊吹は3人が迎えに来るのが待ち遠しくてならなかった。



ーーーーしかし、いくら待っても迎えが来ることは無かった。
時刻は、午後10時。他の生徒は誰1人残っていない。
…また仕事が入ったのかな…。そんなことを思っていた時だった。
プルルルルルル!
突然、静寂に包まれた教室に一本の電話が入った。

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