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ちょっとえっちな短篇集

第6章 第2校舎1階男子トイレ

途中、木下は一回でもいやだといったか?

いや、言っていなかった。
ごめんなさいは聞いたけど、どうしたいって自己主張がなかった。

なんの強制力も持たない俺の言葉におとなしく従って、
最初から逆らう様子もなかった。

もし、ここで助けてとかそう言う言葉があれば、
俺だって俺にできることをしたかもしれないのに。

なんの関係もないけれど
だからこそできることだってあったかもしれないのに
こいつ自身が望んでなかったら俺には何もできない。

ケツを丸出しにして便器にもたれかかる木下が
媚びるように俺を見る。

中学の頃の木下は大人しくて言葉少なだったけど
しっかりとした意思をもっていた。
何があったのか知らないし知ろうとも思わないけど。


俺の好きだった木下はもういない。

こいつが殺したんだ。


END

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