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ちょっとえっちな短篇集

第1章 コンプレックス

「本当に、やめて欲しいと思ってるのかしら」
綺麗な優しく指が頬から顎をたどり顔を持ち上げられる。
長く美しく整えられた爪の感触に肌が粟立つ。

「一人で浅ましく声を上げていたあなたに私は必要なんじゃなくて?」
そんなことと否定することもできない。
細い指に唇を辿られる。
彼女の肉厚な唇とは違う薄い淡い唇だ。

「私について色々聞いているんじゃない?噂はどれも本当よ」

噂、あの彼女に対する卑猥な噂の数々が本当なのだろうか、
だとしたら彼女は一体?

「私はね、主任、あなたのような人を探していたのよ」
私なら、私達ならあなたのことを理解できる。認めてあげる。
あなたのほしいものをあげるわ

私達、とは一体誰の事なのだろうか

「震えているのね、可愛い人…」
可愛いと言われることなんて成人してからは初めてかもしれない。

「ねぇ主任?週が開けたらあなたは部署異動になるわ、
私達はあなたを歓迎する。あなたのような女性を待っていたのよ
そこではみんながあなたを愛して、認めて、求めてくれるわ」

私を愛して…?

「だから私に身を委ねなさい…」

そう笑った彼女の熱い舌に唇をなぞられる感触を、
どこか他人事のように感じていた。


END?

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