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ちょっとえっちな短篇集

第2章 絡みつく鎖

一人で行けるね?と送り出される事もあるし、
その場まで一緒に向かうこともある。
今日は後者だった。

「準備はできたかい?車を待たせてある、行こうか」
私とは親子ほど離れているはずの彼は年齢を感じさせない魅力に溢れている。
海外ブランドの上等なスーツやコートを嫌味なく着こなし、
会話身のこなし全てが円熟した大人の男性だった。
その横に並ぶため、私も一部の隙もないように心がけている。
質のいい衣服、手入れを欠かさない髪、
そういった物を彼は褒めてくれた。
彼の望みどおりに、私の意思など必要ない。
だって私は彼の持ち物なのだから。

目的地までの後部座席で隣に座った彼の掌がストッキングに包まれたひざに置かれた。
「君には随分無理をさせてしまっているね」
慈愛に満ちた声音と裏腹の酷薄な瞳、
膝から腿へ。
腿の内側へと侵入し、じりじりと上がって行く彼の手に私は翻弄されるしかないのだ。

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