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ちょっとえっちな短篇集

第9章 ナターレの夜に

ナターレの夜は町中が静まり返る。

それはここみたいなクソッタレな町だって一緒で

柄にもなく寂しいなんて気持ちになってしまったから
アタシは一人で屋根から月でも見ようかしら
なんて普段だったら絶対に思わないような酔狂でもって
部屋の窓を抜け出して夜の散歩に繰り出しちまってる。

狭っ苦しくぎっちぎちにつまった家のおかげで
屋根から屋根への月夜の散歩なんてのもお手の物で
両手に荷物を持ってたって身軽なアタシには問題ない。

昔もこうやって、色んなものをかっぱらっては屋根伝って逃げたななんて
そんなクソ以下のことまで思い出すのも、
今日がナターレだからだ。

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