ちょっとえっちな短篇集
第9章 ナターレの夜に
どうせなら雪でも降ってしまえばいいのに
多湿なこの港町じゃ雨がせいぜいで
雨なんてもううんざりしてるから降らなくていい。
わざわざ12月のこんな日に寒い寒い言って
毛布にくるまってクソまずいグラッパを煽ってまで
屋根の上で月を見てるなんてどう考えたって普通じゃない。
こいつは一体どうしたんだ?
イカレちまってんだよ相手にすんじゃねぇ
って普段のアタシなら言うんだろうけど。
ナターレの夜は毎年こうやってマンマのことを考える。
「いいかいイレーネ、どんなクソみたいな毎日でも
プライドだけは捨てるんじゃないよ、
そしたらあのお月さんみたいにいつまでも綺麗にいられるからね」
そう言って狭くてきったねぇ部屋から月を見て笑うアタシのマンマは
世界一のいい女だった。
多湿なこの港町じゃ雨がせいぜいで
雨なんてもううんざりしてるから降らなくていい。
わざわざ12月のこんな日に寒い寒い言って
毛布にくるまってクソまずいグラッパを煽ってまで
屋根の上で月を見てるなんてどう考えたって普通じゃない。
こいつは一体どうしたんだ?
イカレちまってんだよ相手にすんじゃねぇ
って普段のアタシなら言うんだろうけど。
ナターレの夜は毎年こうやってマンマのことを考える。
「いいかいイレーネ、どんなクソみたいな毎日でも
プライドだけは捨てるんじゃないよ、
そしたらあのお月さんみたいにいつまでも綺麗にいられるからね」
そう言って狭くてきったねぇ部屋から月を見て笑うアタシのマンマは
世界一のいい女だった。