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ちょっとえっちな短篇集

第2章 絡みつく鎖

幼いころに金銭の援助と引き換えに体を求められた契約はとっくに終わっている。
自由を宣言された私は多くあった他の選択肢をすべて捨てて彼のもとで働いている。

この馬鹿げた仕事もそう、私が望んでいるから、
こんなことをしている私を彼は手元から離すことはできないから。
私は彼の家族にも恋人にもなることはできない、
だからそのかわりになる繋がりがほしい。
私を縛って彼から離れられなくしてほしい。

最初に掛けられた私の首輪の鎖は朽ちてその役目を果たさなくなってしまった。
だから私は新たな鎖を自ら付けたのだ。

自分に依存する私に彼もまた依存している。
強く必要とされることで替りの効く存在でないことを実感する。

私達の関係は鎖のようにひどく絡みまとわりついて身動きを封じ抵
抗を少しづつ奪っていく。


ひどく絡まりあったその先がどこへ行くのか、私にはわからない。


END

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