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ちょっとえっちな短篇集

第3章 DIVE

「ヤケ酒の理由は?男にふられたんじゃないのか?」
「そんなこと一言でも言ったっけ?」

くすくすと馬鹿にしたように笑うけどいつもの軽い表情とは違う。
ふたりともいつもと違っていた。

「俺は誰かの代わりで都合よく使われてるだけじゃないのか?」
「淳一の代わりなんていないよ」
「なんでそういう事を全部言わないんだ?」
「秘密が多いほうが楽しいでしょ」

いたずらっぽく笑う表情も
朝日に照らされてとても綺麗に見えた。
いつも通る早朝の住宅街が特別に思える。

多分ずっと昔から好きだったんだろう。
認めていなかっただけで。

ずっと前から落ちていたんだ。
気付かなくてどんどん深くハマって行ってたんだろう。

「ほら明るくなってきたし早くうち帰ろ!そうだ走ってく?あ、でもパンツはいてないしな」

「走らなくていいだろ、ゆっくり行こうぜ」

光の隣に並んで手を握る。

指先は冷えきっていて、
家につくまでに温められればいいと思った。


END

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