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案内屋 〜アンナイヤ〜

第9章 パラレル いん ざ ハイウェイ 其ノ一


ハツネが言う、"あの子" とは鏡音の母親、月白弥生のことである。
だが、ハツネは自分の娘の仕事の詳細は知らない。

無論、孫である鏡音の仕事内容も知らない。


ただ、鏡音は「もしもの時の為に」と案内屋で使っている源氏名、"鏡音真央" のことと、もしかしたら帰れなくなるかもしれない危険な仕事であることだけは伝えてある。

秘密を漏らせない故の、出来る限りの祖母への配慮。


「大変だけど、でもこの仕事は好きだよ。」

鏡音はニッコリ笑った。
自然と笑うのも久しぶりな気がする。

「なら良いけどね。目が見えるのも、今の仕事のお陰なんでしょう?」

お陰、というより、辞めたら見えなくなる。

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