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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 現在、彩鳳こと文治帝の後宮は至って地味である。皇后に冊立されたばかりの陶桃華(とうとうか)の他に妃は一人もいない。彩鳳は父の死後、二十歳で即位したその年に皇太子時代からの妃であった苑氏(えんし)を皇后に立てた。その年、苑氏の懐妊が明らかになったが、苑氏は六ヶ月で流産、肥立ち良からずみまかった。以後、彩鳳は一切の女人を側に近付けようとはしなかった。

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