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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 漸く彩鳳が若い后を迎えた今、何とか皇子をあげて欲しいと願うのは超の民なら誰もが考えることであった。が、桃華にとっては、そんな周囲の思惑はかえって疎ましいものでしかない。皇帝は桃華が嫁してからひと月、指一本さえ触れようとしないし、恐らく我が身は良人に気に入られてはいないのだと思っている。桃華自身は、思慮深く穏やかで優しい彩鳳に好意を抱いているけれど、多分、この想いは桃華の一方的なものだろう。

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