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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 確かに彩鳳は長身で逞しい。その外見だけで、桃華も初めは武人のようだと思ったのだから。だが、彩鳳が殊更自分をそんな風に言うのが桃華は哀しかった。
「そんなことはありません。私は陛下ほどの優れた方はいらっしゃらないと心より尊敬申し上げております」
 つい強い語調になり、桃華はハッとして手で口許を押さえた。どうして彩鳳が自分を卑下するのか判らない。彼が優れた為政者であることは内外にも知れ渡っている事実なのだ。

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