テキストサイズ

仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 と、桃華は自室の卓の上に乗った鳥籠のことを思い出した。毎日、飽きもせずに暇があれば眺め続けている鳥籠―、中には桃華が嫁ぐ際に持ってきた極楽鳥がいる。極楽鳥もリーラと同じく砂漠の国が原産の生き物だが、羅の国では手厚い保護によって繁殖に成功した。今、桃華にとっては、この鳥だけが故郷を偲ぶよすがである。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ