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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第1章 第一話 砂漠の花

 と、唐突に美芳の頭上から声が降ってきた。「強く私を望む者のみが私の許に辿り着ける。娘よ。そなたは今、私を心から望んだ。その願いを聞き届けてやろう」
 美芳は声のした方―少し上手の、これもやはり水晶でできた玉座に端然と座る若い男を見た。仙王の実際の年齢は定かではない。真は百五十歳、いや二百歳をもゆうに越えているとも云われるけれど、その外見は人間でいえば、せいぜいが二十代半ばの青年にしか見えないと云われる。

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