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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

「陛下、この樹が私の曾祖父の妹君がこの国に嫁いで参った折、持参したという樹でございますか」
 桃華は感慨深く梨羅の花を眺めながら言った。桃華の曾祖父はかつて羅の王の地位にあったが、その妹陶仙華(とうせんか)はその昔、三代前の皇帝にやはり海を越えてはるばる嫁いだ。残念なことに、仙華は皇帝との間に子をなさず、次の皇帝位は第二妃との間の皇子が継いだ。

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