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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

「陛下、ご覧下さいませ。リーラの花ですわ」
「リーラ、確かそなたの国では梨羅の花をそのように呼ぶのだそうだな。五十年に一度しか咲かぬ珍しき花だというが、そなたに言われるまでは迂闊にも気づかなかった」
 彩鳳が桃華の指し示す方を見上げる。重なり合った緑の葉の枝先に一輪、白い可憐な花がひっそりと咲いていた。百合に似た外観は紛れもなく梨羅の花である。

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