テキストサイズ

仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 それは、人間の傲りを万物の王である仙王が怒ったためであるとされている。
 今、人々は皆貧しく、戦ににつぐ戦で疲れきっている。仙王が望んだ国の形は、このような殺伐としたものだったのだろうか。確かに、かつて人間たちは奢り高ぶってはいたけれど、あれほど高い文明を誇っていたのに。
 仙王の美しい双眸が射抜くように美芳を見つめている。美芳は内心の考えを見透かされまいと、小さく首を振る。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ