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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第1章 第一話 砂漠の花

 刹那、美芳の白い頬が歓びのあまり上気し、賢しげな瞳がいっそう輝いた。
「仙王様、仙王様の住まわれるこのお城の庭には宝寿草の樹があると聞いております。私の母は一年ほど前から重い病で寝たままの生活を送っておりますれば、どうか母のために宝寿草の葉を少しだけ分けて下さいませんか」
 美芳の懸命な懇願に、仙王は美しい面に花のような笑みを浮かべる。

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